シリーズA調達に直結する支援の中身──XLIMIT 3rd Batch採択企業が語るアクセラの魅力

グローバル・ブレインのアクセラレーター「XLIMIT」3rd Batchを経て起きた自社の変化、印象的だった学びなどを採択企業5社の代表に語っていただきました。

アウトラウド

LOOV

any style

NexaScience

Seven Point One

独立系VCのグローバル・ブレイン(GB)が主催する、シリーズA未満のスタートアップ支援を目的としたアクセラレータープログラム「XLIMIT(クロスリミット)」。2024年に実施した3rd Batchの採択企業5社に、XLIMITでのご経験を振り返ってお話しいただきました。

独立系VCのグローバル・ブレイン(GB)が主催する、シリーズA未満のスタートアップ支援を目的としたアクセラレータープログラム「XLIMIT(クロスリミット)」。2024年に実施した3rd Batchの採択企業5社に、XLIMITでのご経験を振り返ってお話しいただきました。

参加企業

  • 株式会社アウトラウド 代表取締役社長 CEO 朝澤隼氏
  • 株式会社LOOV 代表取締役 内田雅人氏
  • 株式会社any style 代表取締役CEO 萩原湧人氏
  • 株式会社NexaScience 代表取締役 牛久祥孝氏
  • Seven Point One Inc. CEO Evan Lee氏

シード期だからこそ求めた、シリーズA視点での支援

──まず、XLIMITに応募した理由から教えてください。

アウトラウド朝澤:私たちは、主にシリーズA以降を中心とされているGBさんがシード期を支援するプログラムということを聞いて興味を持ちました。ちょうどプロトタイプを作っているシードフェーズの時期で、先のステージを見据えた学びが得られると思いまして。

LOOV内田:私は、もともと純投資の文脈でやり取りをさせていただいていたGB細村さんからご紹介いただいたのがきっかけです。GBさんはかなり多くのファウンダーとのコミュニケーション知見があるので魅力的に感じました。

Seven Point One Lee:私たちは日本市場への進出を模索していたタイミングで適切なアクセラレータプログラムがないかなと探していたところ、知り合いがXLIMITを強く推薦してくれたのがきっかけでした。

NexaScience牛久:同じく私たちも、知人からの紹介です。2nd Batchに参加されていたビットクォークの小森さんからお勧めいただきまして。まだプロダクトがない状態だったんですが、ダメ元で応募しました(笑)

any style萩原:私は以前、別のアクセラプログラムで最優秀賞をいただいたのがきっかけでプレシリーズAの調達にもつながったという経験があったんですが、そのときのメンターがGB都さんで。都さんが立ち上げられたXLIMITにはもともと興味があり、今回は追加調達に向けて応募させていただきました。

専門家との対話が事業を加速させる

──XLIMITにはGBの営業・マーケ・知財・PRなど支援メンバーによるオフィスアワーがあるのも特長です。このオフィスアワーの時間で参考になったのはどのような内容でしたか?

LOOV内田PR活動におけるカテゴリー戦略の壁打ちが最も参考になりましたね。その後「Video Agent」というキーワードでリブランディングを進めていくきっかけにもなりました。

any style萩原:私たちもPRに対するアドバイスがとても参考になりました。これまで大企業案件をいろいろやってきたのですが、そのことをあまり発信していなかったため、インバウンドでの新規リード獲得につなげられていませんでした。オフィスアワーでのアドバイスを参考に、いまはライターを採用して自社HPでの事例記事やSEO記事の作成に取り組んでいます。

アウトラウド朝澤:同じような話が続いて恐縮ですが(笑)、採用に関する広報の話が特に参考になりました。シードステージでもPRをやるべきなのか、やるとしたらどこから始めれば良いのかのアドバイスをいただきまして。そこでの話を参考に採用ページをNotionで作り、PR活動と連携させることで複数の採用候補者の方と面談することができました。

NexaScience牛久:私たちは営業ですね。弊社には営業を担う人材がいないので、営業の支援メンバーの方々とのお話は特に貴重でした。「オープンソースとの親和性が強そう」というアドバイスをいただいて、つい最近、研究開発から論文まで自律実行できるOSSを公開しました。

先輩起業家から学ぶ、成長への実践的アプローチ

──先輩起業家との座談会も盛り上がってましたね。各起業家の方が話されたことで、もっとも印象に残っていることは何ですか?

LOOV内田:ミラティブ赤川さんのお話ですね。初回のブレイクスルーを迎えるまで、ファウンダー自らがユーザーと向き合い、試行錯誤を重ねていたという話が印象深く、マインドとしてもTipsとしても参考になりました

アウトラウド朝澤:私も赤川さんからお話いただいた、人を増やすことについての話が興味深かったです。ひと昔前は採用が成長に直結していましたが、今は外部リソースやAIを活用すれば無理に採用しなくても成長できる。組織拡大にはむしろタレント採用が重要という視点を学び、とても参考になりました。

any style萩原:私は令和トラベルの篠塚さんのお話が印象に残っています。当初はユーザー起点のアプローチを考えていましたが、篠塚さんの「王道を徹底してから独自性を磨く」というスタイルの方が自分に合うと感じ、方向転換するきっかけになりました。

メンタリングが切り開いた新たな視点

──3ヶ月間をともにした、メンターとのメンタリングの中で最も参考になったのはどのような内容でしたか?

アウトラウド朝澤:ジェネシア水谷さんからは、事業アイデアを形にするやり方や課題探索の考え方について多くのアドバイスをいただきました。過去の事例なども交えてお話しいただいたのでとても参考になりましたね。

any style萩原:私たちはW fundの東さんにメンターになっていただいたのですが、事業戦略のブラッシュアップとピッチ資料の構成についてメンタリングをしていただきました。先行する成功事例をベンチマークにする上で、どのような登り方で目標に到達するのか、事業戦略を詰めていけたのが良かったです。

Seven Point One Lee:私たちのメンターであるAngel Bridge河西さんは、日本で多くの経験とネットワークをお持ちです。日本市場の特性を考えた上でのアドバイスが参考になり、実際に契約締結まで進めることができたと思っています

GBAFとDemo Dayが開いた新たな扉

──GBの年次イベントGBAFやXLIMITのDemo Dayでは、大企業の方や他社VCの方とのつながりが得られたかと思います。協業や資金調達など、具体的に次につながったものがあれば教えてください。

アウトラウド朝澤:GBさんの支援の中でも、大企業やVCとのつながりは本当に強いなと思いましたね。Demo Dayの後に10社ほどのVCと面談をさせていただいたのですが、出資検討も含めたお話をさせていただけたのが良かったです。

Seven Point One Lee:私たちもDemo Dayの後にたくさんのVCと投資に関する打ち合わせを行うことができ、いまも具体的にパートナーシップや投資していただく機会を探っています。また、日経新聞の取材を受ける機会もいただくことができました

any style萩原:私たちはGBAFがきっかけで、弊社が行っているVTuberを活用した地方創生系の企画にご興味を持っていただき、大企業とお話することができました。また、Demo Dayでは各VCの担当者の方々と資金調達に向けた打ち合わせを何件も行うことができましたね。

XLIMITならではの特徴とは

──他のアクセラにはないと感じた特徴があれば詳しく教えてください。

any style萩原:そうですね。著名な独立系VCのメインファンドからの出資かつ、Valuationのcapがないスキームは、これまでありそうでなかったアクセラレータープログラムだと思いました。また、GBのValue Up Teamからの支援をプログラムを通じて一部受けられるので、次回ラウンドでもご出資いただいた場合のご支援内容のイメージも湧きました。

アウトラウド朝澤:私も同じ意見です。他のアクセラと明らかに違うのは、シードVCにはないValue Up Teamからの手厚い支援体制だと感じます。このプログラムでないとGBとプレシード期で密にコミュニケーションを取れる機会はあまりないと思いますので、とても良いプログラムだと思いました。

LOOV内田:私も支援体制が手厚いのが特徴だと感じました。知財、PR、HRなど、領域ごとにプロフェッショナルの方々がいらっしゃるので、どんな質問にも打ち返してもらえるのは大変貴重だと思います。

Seven Point One Lee:先程の質問でもお答えした部分と重複しますが、XLIMITを通じて多数の大企業とのコネクションを築けたことに価値を感じています。GBのネットワークを活用することで、単独では接点を持つのが困難だった大手企業との協業機会を得られ、日本市場での具体的な道筋を描くことができました。海外スタートアップの日本参入において、実践的な支援体制が整っているのは他のアクセラにはない特徴だなと思いました。

「シリーズAへの道筋を描きたい」起業家へ

──では最後にXLIMITをご経験された立場から、どのような起業家に勧めたいプログラムだと感じますか?

アウトラウド朝澤普段接することが多いシードVCとは違う切り口での支援やフィードバックを受けられるので、事業案やプロダクトなどがある程度形になってきていると感じているシード期の起業家にぴったりのプログラムだと思います。

any style萩原:次回ラウンドでの資金調達を目指す起業家の方におすすめのプログラムですね。特にシリーズAの準備段階での参加が理想的ではないでしょうか。プログラムの採択で1,000万円の出資が確約されますし、3ヶ月間の伴走支援でピッチや事業計画の資料磨きもできます。また、GBAFやDemo Dayなどのイベントを通じてシリーズAラウンドのためのネットワーキングも効率的に行えるため、短期間で資金調達をすることにつなげることが可能だと感じました。

LOOV内田:私たちは、本プログラムのピッチ資料をエスカレーションさせる形で他の投資家とも対話をし、その結果プレAラウンドの調達を完了させることができました。外部の力を借りて自分たちの課題感を整理したり、その打ち手を考える上での視点をインストールできるというのがXLIMIT参加の最大のメリットです。自分たちのチームだけでは拡散的思考に限界がある、初期グロースに苦戦している、ビジネス経験が豊富ではない起業家にも向いている手厚いプログラムだと思います。

NexaScience牛久:そうですね。創業されてプロダクトもでき、これからシリーズAを目指したいという方がよりフィットしていると思います。一方でプロダクトがない状態だとしても、将来的にどんな点が課題になるのかということを予習させていただいたり、私たちのような初期段階の企業に合わせて柔軟にアドバイスをいただけたので、プロダクトがない創業前後の起業家の方々にもチャンスがあればトライしていただければと思います。特に我々のようにメンバーの属性に偏りのあるスタートアップは、幅広い観点からの支援をもらえるので本当に助かりました。

Seven Point One Lee:私たちのように日本市場への参入を真剣に検討している海外スタートアップにも間違いなくおすすめしたいプログラムだと思います。単なる資金調達支援だけでなく、日本の大企業とのコネクション構築、市場特性の理解、商慣習への対応など、海外企業が自分たちだけで乗り越えるには高すぎる壁を、XLIMITのネットワークと専門知識で効率的にクリアすることができました。このプログラムに参加していなければ、日本市場での事業展開はもっと時間がかかっていたかもしれないですし、場合によっては諦めていたかもしれません。3ヶ月という短期間で得られる価値を考えると、本当にこのプログラムを選んで正解だったと思います。